「どこ行くの?」
「…秘密」
「じゃあ誰に会うの?」
「それも秘密」
知ってるよ、あの人のところでしょ?
彼女でも友達でもない関係なんか想像もしたくないけど、昨夜スマホで調べた私がバカだった。
あんなの見なきゃ良かった。
もし1日の記憶が消せるとするならば、私は迷わず昨日の寝る前という限定でお願いすることだ。
「…なんで泣いてんのお前」
え、泣いてる…?
下を向いたらポタリと床に涙が落ちた。
「だって約束したのに…デザート…」
「あーもう分かったよ」
そんなわがままに罪悪感が無いと言えば嘘になる。
行かないでくれる?と小さな子供のような眼差しで見つめたが、どうやらそうではないらしい。
「一緒に行こう」
ぐいっと手を引かれて家を出た。
真夏日、ジリジリと太陽がアスファルトを焦がす。
電車に乗って隣町へ向かって、出来るだけ日陰を歩いて兄が向かったのは1つの花屋。
「いらっしゃいませ」
「お墓参り用に包んでもらえますか」
「かしこまりました」
会話はそれだけだった。
お墓参り用…?
この時期だから珍しくはないけど…。



