知り合い……。
妹とも言ってくれないんだ。
それに1人で行こうかなって言ってたのに。
嘘ついたんだこの人…。
いやそれは私も人のこと言えないけど…。
「ほら柚、次のオーダー取ってきて」
ぽんっと背中を押されるように、私は8番テーブルを離れた。
後始末は羽川さんが受け持ってくれてしまったらしい。
…あとで謝っておかなきゃ。
それとお礼も。
働くってこういうことなんだ…と、初めて知った高校1年生の夏休み。
「ごめんなさい羽川さん…」
「誰にでもあることだから気にすんなって。俺なんか客に皿ごとひっくり返したことあるから」
休憩室、差し入れとして渡された缶コーヒーを一点見つめていた。
皿ごとはやばい……。
それでもどこか楽しげに笑っている羽川さんに心は落ち着いた。



