えーっと8番テーブルは…っと。
………げ。
「…お待たせ致しました。チーズたっぷりエビグラタンになります」
「あ、私だ」
「お熱いのでお気をつけください」
「どうもー」
見覚えのある女の前、サッと置いてサッと戻す。
その間もその男とは一切視線を合わせず、営業スマイルで乗りきった。
「……ほうれん草とベーコンのクリームパスタでございます」
「え?ごめん声が小さくて聞こえない」
こいつ…わざとやってるに決まってる。
その不適な笑みを見れば分かる。
「ほっ、ほうれん草とベーコンのクリームパスタですがっ!」
───ダンッ!!
ハッと気付いたとき、一瞬周りは静けさが広まって。
私に全てが注目。
「し、失礼致しました…」
そして再びざわめきが戻った。
なにをムキになってんだろう私…。
目の前には意地悪にベッと舌を出す兄が居て、隣の女は「兄妹喧嘩?」なんて言っている。
そしてそこに現れた羽川さん。
「すみませんお客様。火傷などはしていませんか?」
「まぁ、特には」
「この者は新人でして。しっかり教育しておきますので」
「別にこいつ俺の知り合いなんで大丈夫ですよ」



