騒がしい朝の街。 点滅する青信号。 大気に溶ける白い息。 人混みを縫うように走って、息があがって、それでも私はひたすら彼の背中を見つめながら走った。 お願いお願い!と祈るように。 プシューッとバスのドアが閉まって、発車していく。 「ハァッ……ハァッ……よかったぁ!」 彼とバスに乗り込んで、私達はなんとか間に合った。 けど、繋がれた手は気づいた時にはもう離れていて……。 「やっぱ全力って嫌い。息切れするし」 座席に座った彼は、表情を隠すように目元に腕を乗せた。