今後もし、会長様から目をつけられることがあったら、その時は他人のフリするって。

それだけは阻止したい……!

だから、出来ることなら言いたくはなかったけど。


「ふーん。廊下走って校則違反、ね?」


負けた……。

腕を組み、正門前の電柱に背中を預けた律くんの圧に。

昨日起きた一連の出来事を洗いざらい話した。


「走ったのは、早くメガネを届けた方がいいって判断したためです……」


決して子供みたいなことをしたわけではなく、と心の中で言い訳をしてみる。


余計に呆れてほしくないから……。


「……俺以外のことで走んなよ」


「ん?」


独り言みたいに呟いた律くんの声がちゃんと聞き取れなかった。