──相手の全てが欲しい。

そう望むことは間違っているのでしょうか?


「私は別に、大好きだからって律くんの全部を奪いたいってわけじゃないの……っ」


「……いくら親友でも全然話が見えないわよ!?


「そうだぞ西宮! 順を追って話さないと、ベテラン相談員の玲来もお手上げだぞ!」


「……あんたら二人してわたしを何だと思ってんの」


最も寒さが脅威を増す二月がスタートした朝。


「うぅっ……」


「鼻水つけたら罰金500円だかんね!」


私は相談窓口の受付である玲来ちゃんに半べそをかいてひっついていた。


「私、疫病神なのかもしれない……」


ポツリ、と胸の内を漏らせば、二人の顔が引き攣った。