愛は惜しみなく与う【番外編】

上半身裸で、俺はなにを耐えてんだが


「いいの?」

「上目遣いやめて」

「ん?」

はぁ
ドキドキさせられすぎて老けてないかな。
心臓がもたないな


「ズボンは?」

「ここでズボン渡したら、俺パンイチだろ。それこそ襲うぞ」


杏の頭をわしゃわしゃとすると、髪はまだ湿っていた。
仕方ない


「今可愛い顔してるから外出るの禁止な!ドライヤー部屋でしてやるから待ってろ」


杏が着ていた服を回収して部屋を出る。

……っと


「お前らなんだよ」


杏の部屋から出れば、4人ともが壁に耳を当てていた。
このマンション…特にこの部屋は金かかってんだから、中の声は聞こえないぞ。


「まじでさっさとリビング戻れ!」


小さい声でそう言うと、大人しくゾロゾロとリビングへ移動した。いつから聞いてた?まぁいいけど。何もしてないし。


「なんで服着てないの?」


響は苦笑いで尋ねてくる。


「服貸してやった」

「ふーん?泉ってなんかほんと、杏のこと好きなんだね」


響は杏が幸せならいいね。とゲームを再開した。幸せだと思ってくれてれば嬉しいよ。


「お前、ヤんなよ」

「分かってるって言ってんだろ?」

「別に私はオッケーですよ?」

「俺はそんなことするなら桜さんの家戻る!」

ため息ばかり出る
嫌なわけではない
こう言う周りの反応に慣れないから、どう対応したらいいか分からない。