愛は惜しみなく与う【番外編】


「おっまったっせぇーーい!」


ドアを蹴破る勢いで嬢ちゃんが帰ってくる。その後ろにはゴトウも。


「なーなー、ゴトウさんに大金渡されてんけどなに?これは賄賂?」

「相変わらずバカですね。坊ちゃん、本当にこんなぶっ飛んだ思考回路の女性でいいんですか?」


坊ちゃんにはもっとふさわしい可憐なレディが!そういうゴトウの頭に、チョップする嬢ちゃん。


「ぶっ飛んでへんわ!」


「な!この、小娘!!」


やれやれ

仲はいいとは思うけど


「金は、入院費と手術費だ。てゆうか杏に渡すなよ。振り込めよ」


泉は嬢ちゃんとゴトウを引き剥がし、金の入った袋をゴトウへ突き返している。
間違い無いな。

金を受け取ってくれないから、わざわざ勝手に用意して持たせたのに。


勝手に入院させたのあたしやし、お金はいらんで!と笑っていた嬢ちゃん。
だかそうもいかない。

執刀医も、財閥から莫大な給料もらってるからいりませんよーと緩いことを言っていたが。

これは大事なことだから


「なるほどな?まぁ、そうか!ほな志木にゆうとくわ」
  

ニコリと笑い、嬢ちゃんは泉の近くに腰をかける。
別に、避けてるようには見えないけどな。