愛は惜しみなく与う【番外編】


「なぁ親父。向こうで杏は何してた?3ヶ月…会えなかった。その間になにがあった?杏は…あんまり話そうとしないんだ。家のことは教えてくれたけど。

なんかもっと、気持ち的に…何かあった気がするんだ」


様子がおかしいと言う。

うん

知らねーよ


嬢ちゃんは家のことに追われていた。如月財閥の後処理や、スコーピオンのリーダーが逮捕されたことによって明るみになった他の事件。

それらの対応を東堂組と一緒になってやっていた。


家のことも…

母親と妹とは3人で話せたらしい。

嬢ちゃんは嬉しそうに俺にも教えてくれた。


だから、何かあったようには思えなかった。毎日笑顔で早く帰りたいと言っていた。

気持ち的にね…


「さぁどうだろう。お前らに会いたいって毎日言ってたけど。特にお前が避けられる理由は知らない。何かしたんじゃねーのか」


この嬢ちゃん大好き人間が、嬢ちゃんを傷つけることをするとは思えないが…


避けられる、か



まさかな?


朔の予想があたってるのかもしれねーな



「なんで笑うんだよ」


無意識に笑っていたようだ。
ま、この仏頂面の息子も、恋愛をすればいい。そして散々悩めばいい。

自分を振り回してくれる人は、人生でそう見つかるもんじゃない。

やっと、立場や過去から解放されたんだから。