愛は惜しみなく与う【番外編】

そう思った時、声がした

幻聴だと思った。

だってあんな顔をさせて、俺のところへ来てくれるわけがないから。


信号が青になる進もうとした時、目の前に杏が現れた


息を切らして俺を見て


謝った


顔見たくないとか言ってごめん。会いたくないって言ってごめん。そう言った

なんで、だよ

すげぇ嫌そうな顔したじゃん。逃げるほど…嫌がられてたんだろ?

何で追いかけてくんだよ


気持ちの整理もつかないのに


でも杏は目を逸らさず真っ直ぐ俺を見た


あぁ、やっぱり俺は、杏のこの目が好きだ


ちゃんと俺を見てくれてる
真っ直ぐなこの目は、俺を素直にさせてくれる。


「乗る?」



そう聞けば、急いでバイクの後ろにぶらさがるヘルメットに手をかける。

そして慣れた手つきでヘルメットを被り、バイクの後ろに飛び乗った。


別にどこに行こうかなんて考えてなかった


ただ向き合うために戻ってきてくれたことはわかったから。仲直りをしなきゃいけないと思った。


背中に頭をくっつける杏

ごめんな。