愛は惜しみなく与う【番外編】

返事は返ってこなかったけど、スッと背中を向けたまま杏が近づいてきた。

ふむ。最近何もしてないから我慢できないんだけどな。

後ろから杏のお腹あたりに手を回せば少しビクッとしたまま大人しくなった。


「あの、泉」

「なに?」

「あ、その」

ごにょごにょ言って再び顔半分までお湯の中に浸かってしまった。
まぁ恥ずかしいだろうな。俺だって恥ずかしいし。急な展開にどうしたものかと俺の思考も追いついていない。


「……んの?」

「え?」

いつも杏の声は隣の建物にいても聞こえるレベルの大きさだ。だからあまりにも小さくて聞き逃した。


「なんて?」

腰に回した腕に杏は添えている。


「えっちなことすんの?」


………はい?
いや、鼻血が出たかと思った。

言葉だけでここまで人を興奮させれる杏は凄いと思う。本当に可愛くて仕方がない。


「正直、嫌じゃないならする気満々」

「……やじゃない、けど」

「けど?」

「……お風呂は…嫌」

入ってきたの杏だけどな!?
まぁいいや。

「お風呂入ってからがいいんでしょ?」

そう尋ねればうんうんと激しく首を縦に振った。そう言うのは分かってたし、洗わせてくれとか言ったら嫌がられそうだから……


「みんといてや!!」


結局なぜか後ろを向かされて、洗い終わるまで風呂から出て来るなという拷問をされてる。
普通に暑いんだけど……

杏がその気になってくれてるんだから我慢しなきゃ。

そして少しして、じゃあね!と杏は風呂場から去っていった。

はぁ


「あちぃ」