愛は惜しみなく与う【番外編】

そんなに不安になっていたのか。
せっかく2人っきりは久々なのにって思ってくれてるだけで充分だよ。


「だからって、仲直りに風呂は思い切ったな」

そう言うとバシャンとお湯をかけられた。いや、だってな?なかなかすごいと思うけど。


「俺、女の子と風呂入るの初めてだから今更緊張してきた」


突然だったからびっくりして今ようやく思考が追いついたけど、人生初めての経験だ。杏と一緒にいると沢山初めての事や、初めての気持ちがあって新鮮だ。

杏は普通に志木さんと風呂とか入りそうだよな??なんかその辺の倫理観は少しおかしいから。

でも思っていた反応とは違う反応をする。


「初めてなん?ほんまに?」

と少し嬉しそうに見える。
ん?


「なんかあたしばっかり初めての事多いからさ?だからちょっと嬉しいな」


手を頬に当てたまま首を傾げながらニコニコしている。杏はわかってないな。


「俺、初めてだらけだよ?」

「ほんまに?あたし、キスするんも泉が初めてやで?」

あ、それは嘘かも。と上げて下げる意地悪をされてしまう。こういう時感情は出ないはずなのに、自分でもムスッとした顔になったことが分かる。


「泉の初めて何個か貰えてるなら良いや」


と向かい合っていたけど背中を向けて鼻下までお湯に沈む。

俺の初めてって杏だらけなんだよ?


「抱っこして良い?」


勝手に触れると殴られそうだから一応尋ねてみる。