愛は惜しみなく与う【番外編】

俺は返事をしているけど杏が風呂場に来たことの衝撃でまともに話せてるかは分からない。さっきのこととかどうでも良い。


「一緒に入っていい?」


いや、いいけど。
俺別に怒られないよな?杏から入ってきたし。動かない頭を動かして楽観的に捉えた。

杏も少し積極的なら良かったよ。


「ちょ!」


振り返ってやった。
でも残念。ちゃんとタオルは巻いていたみたいだ。
そのまま杏の脇に手を突っ込み風呂の中に入れた。


ざぶーんと


「あほ!」

「俺旅行の時、杏に露天風呂に突き落とされた」

あれは!!とゴモゴモ口を動かす杏の顔は真っ赤っか。俺が言うのもおかしいけど、なんで風呂入ってきたんだろ?風呂ってハードル高くない?

俺はいいんだけどさ。


「何も見えないからタオルいらない!」


湯がピンクの濁り湯だから湯船に浸かって居ればお互い何も見えない。


「仲直りできる?」

「………へ?」


少し離れたところから上目遣いでそう尋ねてくる杏。仲直りって俺たち喧嘩してたの?


「怒ってへん?」

「何に?怒らないよ。どうかした?」


俺は何か杏にそう思わせてしまう態度をとってしまっていたのだろうか。


「だって。2人久しぶりやのに……プロレスしたし」

なんだ。
そんなことか。


「ふふ。別に何回でもするよ。俺が勝つけどな。まさかそんな事で俺は怒らないよ。たしかに空気はガラッと変わったけど、杏とあーやってふざけてるのも好きだから」