「ま、親父が家くらいなら建ててくれるって言ってたけど」

「ぱぱちん太っ腹」

「そんなことを言うなら、蘭様も、杏様にお祝いで好きな土地を買ってくれると思いますよ」


これで家は心配ありませんね。そう笑われた。いやいや、みんな金持ちすぎやん。
もうちょっと庶民の気持ちを…

あたし一応せっせとバイトしとんねん!


「俺はまぁ…面倒見たい奴がいるから、ちゃんと仕事するよ」

「面倒みたい奴?」


「朔とか…朔とか…朔とか…」


ふふ。朔だけやん。ちょっと笑ってしまった。


「何年かして会社を創るから、そうすれば朔を雇えるし」


……ん?なんて?
会社を創る?

これまたすごい計画やな。全然知らんかったわ。


「俺、誰かの下にいることって無いから、自分でやる方がいい」


な、なるほど


「泉は向いてると思います。経営者というのは、元々みんなそんな感じなんですよ。誰かの下で働くことがもどかしかったり、型にはまって仕事をするのが嫌だという人たちです。

特に泉は、人を率いていく力があるんでね。経営のことならいつでも相談してください。なんならスポンサーになります」


おお…
志木がスポンサーは心強い。
ちょっとしつこそうやけど。色々と。