「俺も、もっと近づきたいと思ってるよ」


どれだけ一緒にいても、足りない。求めてしまう。

俺はきっと独占欲の塊で、杏を自分だけのものにしたいって心の底では思ってる。
だけど杏は、みんなから好かれるいい子だから。みんなの光でもあるから。


もしこの瞬間だけその独占欲を曝け出していいのなら……

受け止めてくれるのなら…



「大事にする」


温かい杏の頬に触れる


「全部あげるし、全部…ちょーだい」


ほんと、どこで覚えてきたんだか。
杏のことだから…思ったことを伝えてくれてるだけなんだろうな。

わかるからこそ、余計嬉しくなるんだ


本心でそう言ってくれているから



キスをしようとしたら手で止められる

あれ?


「あ、あの!」

「どうした?」

「あ、あっちの…電気も消して欲しい」


手で顔を覆う

可愛すぎるだろ

ここで変に意地悪するのは俺の趣味でもないから。

まっててと言い、消せるだけの電気は消した。


少しホッとした顔をする


「これで見えへんな!」


杏は安心そうに笑ったけど……

普通に見えるけどな?


杏からすると、俺が上にいると影になって見えないのかもしれない。