「お、おかあ、さん」


声が震えた
部屋の中に足を踏み入れる勇気がない

俺は……



「………朔!!!」


ぐいっと手を引かれ、部屋の扉は俺の背後で閉まる


そして俺は


温もりに包まれた



あの馬鹿。心づもりくらいさせろよ。何も知らされてないから、ただ涙を流すことしか……できねーじゃねーか



「朔…!朔…!ごめんね…母さん…弱くてごめんね」


あぁ
そうだよ

俺はこうやってお母さんに名前を呼ばれるのが好きだった。

朔って名前は…好きだった


お母さんがつけてくれた名だと知ってたから。



身体を離して俺の目を見つめるお母さん




「大きくなったね。…かっこよくなったね。逞しくなったね…」

「……うん。図体だけ一丁前にな」


頭は成長に追いついてないけど。

そんな冗談いつもなら言えるんだけど今はそんなこと言える空気じゃないし、俺のメンタルもそれどころじゃない。



「会ってくれてありがとう」

「いや、俺も。ずっと会いたかったから。あいつらに感謝しなきゃ」


きっと、志木さんが仕事の合間を縫って色々調べてくれたんだろうな。