「朔にまっとけゆうといて。あたしそっち行くわ」

"悪いな。押さえておくわ"


なんで暴れてるんよ
なんか、察したか?いや、それはないな


母親の部屋を後にして建物の外に出ると…


泉が朔を捕獲していた


「杏もいるじゃん!なんだよ!俺拉致られたんだけど!」

「うん。あたしが頼んだ」

「は?俺は今日発売のゲームを買うために、今から並びに行かなきゃいけねーんだよ」


はいはい
理由がガキやな


「また明日な」

「やだ!」

「お母さんに会おう」

「やだ!!……え?」


勢い余って嫌だと言った朔

そして不思議な顔をする



「お母さん?誰の?」


「……朔の」


「……ん?」


ふふ


「おいで。一緒に行こう」


朔の手を引くと、バッと振り払われる。



「どういうことだよ。俺の母親?笑えない冗談言うなよ」

「あたしは関西人やし笑えへん冗談は言わん」

「……本気で言ってんの?」

「本気。あんたから昔の話を聞いてすぐに、母親も同じ気持ちなら、後悔のないように会わせてあげたいなってずっと思ってた」