「君たちは、大野さんの息子さんのお友達なんだね」

大野さん

おおの?

あ、朔って大野朔って言うんや。一年たって今更苗字を知った。


「ずっと探してて。もし会わせてあげられるなら会わせてあげたい」

「そうだね…多分大野さんも精神的に落ち着いているから大丈夫だとは思う。ただ大野さん自身がどう思うかは…」


「息子には会いたがってない?」


不安になった
もう10年ほど前の話らしいから

どう思われているのかわからなかったから

けど医者の反応で少し安心した


「まさか!!ずっと息子さんのことを気にかけていましたよ。喜びますよ絶対。ただ…時期が悪いかも」

「時期って?」


気にかけてくれてたならええやん?そう思った


「大野さんはもう少しで引っ越すんだよ。ここも退院して。今は、他の入居者の人達のケアをするほどまでに回復している。息子さんに会えたとき、引っ越しが嫌になったりしないかなと心配になる」


なるほどな

それなら尚更やな



「尚更、会わせてやらなあかんな」



担当医に聞くと、朔のお母さんを支えてくれる人がいるとのこと。