「朔くん」

『んだよ。終わったの?迎え行くわ』


朔くん。あたし少し変わってみる。朔くんが信じてくれるように頑張ってみる。


「杏さんならもう帰っちゃったよ?引き止めようとしたけど足速すぎて、すぐ見失っちゃった」


『は?何言ってんだ?お前のだよ』

「え?」


『杏は大丈夫だ。歩くの速すぎて一般人には見えない。迎えはお前の迎えだ。場所は?行くから』


……はぁ。やだな

嬉しいな
 
そして苦しいな


『おい、美波?なんかあったか?』

「んーん。大丈夫。杏さん、すごく優しくて良い人だった」

『……まぁな。悩みは解決したのか?』

「そうだなぁ…頑張ろうって思えた」

『あっそ。とりあえず場所だけ送っておいて。迎えに行くから、人多いところに居ろよ』

「うん…ありがとう」



電話を切って現在地を朔くんに送った。

迎えは…元々あたしの迎えなんだね。優しくされると困るんだな。

以前なら舞い上がっていたのに

今は朔くんの優しさを静かに噛み締める。



杏さん!


あたし、本気で朔くんが好きなんで頑張ります。



「やっと見つけた」



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