「サトル側から、貴方に会いたいと要望がありまして。裁判になります。いろいろサトルはやってるんでね。ただたくさんの余罪があるんですが、罪は認める様子もなく…

貴方に会わせろというんです。一度私が刑務所に面会へ行ったんですが…

お前じゃ話さないと言われ…思い出しただけでもムカつきます」


志木さんはそう言って拳を握った


えっと、俺に会いたいって

なんで?


「泉に会えば自供すると」

「へぇ。別にいいけど。多分、毒気は抜けてるだろう」


俺はサトルを見た

あいつはきっと、杏に許された

そしてあいつも自分の罪と向き合う気になっていた筈だ。

杏はただ足場が崩れただけだと言った。それは嘘ではない。サトルにやられたとかそんなふうには思ってない。

だって


あいつは杏を


瓦礫に埋もれてしまった杏を


必死に探していたから



何を話したいかは知らない。でも別に会ってもいいと思う


「まさか、あっさり承諾されるとは」

「いろいろ慣れたんでね」


杏のためにも
あいつが罪を償うためにも