「杏様とはお変わりないですか?」

「そうですね。仲良くやってますよ」

ならよかったです。
志木さんは優しく微笑んでいた。

杏をからかいたいだけなんだな。


いつも心配してるだけだもんな。


「で、話って…まさか本気でネチネチ言われる感じですか?」

「貴方も私をなんだと思ってるんですか。言いませんよ、よっぽどじゃない限り」


そういう志木さん

よっぽどってなに?
2人で旅行行くって言えば、後をつけられるだろうな。言わないでおこう。


「あのですね、杏様には秘密にしてほしいんですが…」

「……なんですか?」



「サトルに会いに行きませんか?」


まさかだった

どうなったんだろうとは思っていた。

杏は解決したらもう気にならないと言っていたけど、俺はそれなりに気になっていた。

向こうで如月財閥との後処理も大変だっただろう。杏が退院してすぐ帰ってこなかったのは、そういう処理に時間を取られたと言っていた。


杏も

あれからサトルに会ってないらしい


杏なら刑務所まで面会に行きそうだけど


もう疲れたんだろうな
その話は全くしなかった。

なのになぜ