「あたしの憧れって気持ちが向こうには…その恋愛で好きって言うふうに伝わってたらしくて……何回も告白されてんねん」


「そういうことか」


恋愛という感情に鈍い杏が、不器用ながらに遠ざけた理由は、向こうからの好意を知っていたからってことか。


「あの頃はテキトーに、学校忙しいとか喧嘩で忙しいとか断っててんけど…まさかここで出会うとは」


はぁ。とため息をつく杏
べつに嫌いなわけではないんだろうな。向こうの好意を知ってるから…対応に困ってるって感じだな。


「前まではテキトーでよかったけど、今はあかんやん。泉と付き合ってんにゃし。中途半端なことはしたらあかんからなぁ」


やし気にせんといて?電話も出ん。
杏はそう笑った。

思ってた展開じゃなかった。
杏は向こうの気持ちに気づかずに、ご飯?久しぶりやしいくー!ってなると思った。

電話もかかってくれば、出ると思った。

ヤキモチやいてしまう自分がチラ見えしたが、案外冷静に杏が対処していて、ヤキモチの暇もなかった。