愛は惜しみなく与う【番外編】

「え、えっと、慧くんを好きになった理由?でいいのかな?」

「うん!教えてもらえたりする?恥ずかしい?」

「いや、全然いいけど」


ニコリと笑って桜さんは少し照れ臭そうに話し出した。
2人の出会い、そしてその時の気持ちなど、桜さんはあたしに教えてくれた。


人の話はなるほどー!と思って聞ける。そこで好きになったと言われれば、へぇー素敵やなって思える。


でも…

あたしは自分のことがわからへん



「待って?杏ちゃん好きな人できたの?」

「あ、そういうこと?え?ほんとに?」


今度は慧と桜さんが机に身体を乗り出している。

好きな人か




「あのさ?最近さ、気を抜いたら泉のこと避けてしまうねん」


そう

ここ最近の1番の悩み事

誰にも言えずに2ヶ月経った

いや、大丈夫やってんけどな?

こっちに戻ってくる時に、精神統一してきたら、動揺もなかったんやけどさ。

でも、ここにきて急に、意識してしまってる。


理由はもちろんある。



「1週間前にさ、響に言われてん。泉といる時のあたしが1番笑顔で可愛いって。あぁ、ありがと!ってその時は笑っててんけどさ」


そう、笑っててん。
あらそう?ってくらいにしか思ってなかった。でもさ