愛は惜しみなく与う【番外編】


「ぱぱちん聞いて?」

「ん?」

「朔がさーテスト赤点とりよってん!2年の学年末テスト!どー思う?」

「朔はバカだったな。赤点とったら3年にはなれないのか?」

「んーん。なれると思うけど、あたしら教えてんのに赤点取るとか、考えられへん!」


そんな他愛もない話をした。

孫ができたみたいな気分だな


最近の出来事を笑顔で教えてくれる。



「杏、そろそろ帰るぞ」

 
泉は嬢ちゃんに手を伸ばす



嬢ちゃんは少しビクッとして



俺に手を振りながら立ち上がった


違和感


泉の手を避けたような…


息子の顔も、むっとしている。
もしかして、避けてるって…これのことか?


「ほな、ぱぱちん!ゴトウさん!また遊びにくるわ!」


笑顔で帰っていく
  


 



あいつは鈍いからな

気づいてないんだろうな



避けられてると思うのか、あれを



俺には恥ずかしがって、顔を背けたようにしか見えなかったよ。



「杏さん…坊ちゃんのこと好きなんですかね」

「……俺らおっさんには、関係のない話題だよ」


2人の後ろ姿が見えなくなるまで見ていた。

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