あー……顔がゆるむ。
うすい掛け布団からお日様の匂いがする。
変だな。ずっと押入れの中に入れてたから、ほんとならカビ臭いハズなんだけど。
もしかして、洗濯してくれてたのかなあ。
ベランダに干したりして。
「おれい、いわないと……」
そもそも、彼にはここまでして私をお世話する義務はない。もちろん義理も。
まあ、家事などの一切合切してくれなくなったら即刻追い出す気ではあるけども。
それでも、彼にはちゃんと千井とか朝水くんっていう友達がいるから、家には泊めてもらえたりすると思う。
朝水くんは知らないけど、千井は拒否したりしないだろう。
あの性格だし、親がダメって言っても何がなんでも泊めてくれる気がする。
だから、……だから?
そこまで考えて、瞬きの回数がどんどんのろくなってくる。
お風呂入らなきゃまた怒られる、ってわかってはいたんだけど、睡魔には抗えず。
すう、とまぶたと意識がおっこちた。



