今夜はずっと、離してあげない。




「……そんなに浮かれてたんですか?」

「………………だからさっきも言っただろ。まさか信じてなかったのか?」

「だ、だって、そんな雰囲気を一ミリも感じなくて……!」



そんなの。そんなの、思うわけ、ないじゃないか。

こんな真顔で、無表情で、すんっと澄ました顔した伽夜が、浮かれてる、なんて。



「その表情筋、どうにかしてくれませんか……?わ、わかりにくいです……」

「それはもう俺がどうこうできるものじゃない」

「ええええ……」



困ったような声をあげながらも、口角が緩んでいくのを我慢できなかった。

だって、こんなの、うれしいから。

伽夜もちゃんと浮かれてくれてたのが、かなり。



「……でも、心配しなくても大丈夫ですよ。ここ一本道ですし。伽夜は屋外ツリーの前にある飲食スペースで待っててください。私もすぐ行きますので」

「……お前、ちゃんと俺を見つけられるのか?」

「その時は、伽夜が見つけてくれるじゃないですか」



自信満々にそう言うと、呆れたようになんでお前が言うんだと言いたげに見下ろされた。



「……はあ。じゃあ、迷子になったらまた連絡しろ。すぐ迎えに行くから」

「はい、わかりました。すぐ合流します」



そうやって伽夜と別れ、さて、と屋台の間をゆっくりと進み始めた時だった。


ふと、とあるお店の前で、足を止めた。