俺は、あのセンセにこんな思いを抱いたことはなかった。
相手のしわあせを、隣で自分も共有していたいだなんて。
ねがわくば、そのしあわせの一端に、ふれさせてほしいだなんて。
「……それじゃ、やっぱこっちだな」
持っていた皿を戻して、その下にある同じブランドの食器セットを手に取る。
「……あの、私の話聞いてました?」
「きーてたきーてた」
「だから、」
「あのなあ、」
紡がれようとした言葉に無理やりかぶせて、繋いでいる手でこつりと額を小突く。
「俺はもう、とっくに氷高真生の色に染まりきってるんだよ。なんか文句あんの」
「あ、りませんけ、ど……」
だんだんと尻すぼみになっていく言葉。
きょろきょろ右往左往する瞳。
赤くなるのは目尻から。そのあとは徐々に顔全体に広がっていく。
この頃注視してて気づいたのはこのくらい。
あ、あと、すぐに話をそらそうとするところもか。
「─────っあ、こ、これ……、」



