今夜はずっと、離してあげない。




ぴっと、バーコードを読み取ってもらって、いつも通りひとつの肉まんを半分こにしてふたりで食べる。

いつか、なぜ半分にするのか聞いたことがあった。



『え?そうですね……、あんまり考えたことなかったんですけど、あえていうなら、費用面と、あと、あったかいから、っていうのがあると思います』

『あったかいから?』

『はい。コンビニって冷えた物が多いじゃないですか。でも、おでんとか、肉まんとかは待たなくてもあったかいですし。……それに、』



それに、



「─────〝ふたりでわけて食べられるから〟」


「え?いま、何か言いましたか?」

「いや、何も」




いつから、なんて詳しくはわからないけれど、あの時から、もう好きだったんだろうな、と思う。


肉まんを選び取る理由が、あったかくて、なおかつふたり一緒に半分にして食べられるから、だなんて奇妙な理由もあったものだ。


……そんな氷高真生を好きになった俺は、はたから見れば、最も奇妙な者に映っていることだろう。