今夜はずっと、離してあげない。






「……あの、私に対して何か言いたいこととかあったら、遠慮なく言ってくださいね」

「言われずとも毎日嫌ってほど言ってるけど」

「………それはそうですけど」




下駄箱で手を繋いだまま靴を履き替えていれば、すこし履きにくそうに悪戦苦闘している真生がいた。

それでも、手を離す気はない。


一度、下駄箱に着いた時に手を離されそうになって、離されまいと手を握り直すと、何かを悟ったのか、言及する気配はなく。

ただずっと、握り返してくれている。




「今日バイトないんだよな?」

「え?ああ、はい」

「んじゃ、どっか寄って帰るか」

「あ、なら肉まん!肉まん食べたいです!」

「お前は肉まん以外に欲は働かないのかよ……」




女子なら、もっと別のとこに行きたいとか言うんじゃねーの?

ショッピングモールとか、映画館とか、雑貨屋とか。……真生が行ってる姿は、思い浮かばないけど。