「あとどれくらいこうしてるんですか?」
「………」
「えっと、あの、正直、誰も来ないとは思うんですけど、恥ずかしくってですね……」
「………」
「差し支えなければ、あとどれくらいこうしているのか教えていただければなと……」
「………」
誰も来ないなら、別にいいだろ、と言う気はなくて。
俺の独りよがりの安堵に付き合ってもらっているわけだから、そろそろ終わらせようと、最後に一度ぎゅうううっと一際力強く抱き締めれば、うぐぇっ、と色気もクソもない声が腕の中から漏れ聞こえた。
「ほら、帰るぞ」
「……え、いまの現象にはノーコメントですか」
「オフレコでよろしく」
「話さない気満々じゃないですか……」
呆れたような、諦めたような苦笑いが、後ろから聞こえる。
歩き出す際に掬い取った手は、繋いだまま。
まるで、やっとひとつの形になったみたいな、そんなしっくり具合。
……やっぱり、どう転んでも、真生は俺の、このくそったれな世界で絶対的な唯一無二だ。



