今夜はずっと、離してあげない。





ドンッ、ガンッ、ガシャンッッ、ふに、ガララララ────。


キッチンで出てはいけないあらゆる音が出てしまった瞬間だった。



「………、」

「………、」




今度はふたりして目を丸くする。

なにも言葉が出てこず、沈黙する……かと思いきや。


こつん。



「いっ、」



キッチンの端っこに置いておいた使わなかったボールが、私に覆いかぶさるようにしていた伽夜の頭にクリーンヒット。


さっきよりも目を丸くして。

でも痛そうに顔を歪めている伽夜を見てしまえば。



「……ぷっ、」

「……くっ、」



そうなることは、もはや必然。


あはははは、とまずは私が笑い出し。それに釣られたように、はははっ、なんていう伽夜の笑い声が響き渡る。



「あはははっ、ほ、ほんと、なんなん、ですか……っっ」

「それはマジでっ、ふ、こっちのセリフだっつーの」



たぶん、足をすべらせた時に感じた唇のあの感触は、まちがいじゃない。

というか、一度経験済みだから、さすがにわかる。


私たちらしい、事故という名の記念すべき2回目のキス。