今夜はずっと、離してあげない。





仮にも自分で作ったもんだぞ、って言われたけど。



「自分で作ったものだからこそ信用ないんですよ」

「変なところで潔いよなお前……」



呆れた目で見られるけど、これはほんとに譲れない。伽夜がお腹壊したら完全に私のせいだし。



「で、では」



歪なマカロンをひとつ取って。

ふう、と覚悟を決める。


はんむっ、と半分ほど口に入れて、もぐもぐもぐり。


……もぐもぐ、しゃくしゃく、ごくり。



「……ど?」

「……………あの、実は私、マカロン食べたことないんですよね……」

「それを先に言え」



おいしい、のかな?これは……。

別にジャリジャリしてないし、ちゃんとチョコの味もするし、おいしくなくはないと思う、けど……。


……マカロンを食べたことがないから、よくわかんない。


そんな腑に落ちない感情を抱えながら、食べてしまおうと残りの半分を口に運ぼうとした時。


ぱくり、と隣から覗いた銀髪が、先に掻っ攫っていった。