今夜はずっと、離してあげない。





全然不思議に思わなかったことも不可解だけれど、材料がここまで揃っているのもよくよく考えればすごく不思議。




「買っておいたから」

「ピンポイントにですか?」

「そ」



あ、ジャムはちょっとでいいからな、と呟く伽夜は、嘘は言っていない、と思う。

……ほんとにたまたま、偶然、だったのかな。




「……いちおう、でき、ました?え、ほんとに完成しましたこれ」

「お前が不安になってどうすんだよ……」

「いやだって、大体料理すると最後にはダークマターしか生まれないので……」

「お前の手は一体何を生み出してんの?」



完成したのは、なんとも歪なマカロンと言っていいのかわからないもの。けれど、まあ丸い形にはなっているから大丈夫、だとは思う。



「問題は、」

「味だな」



無造作に伽夜が手を伸ばしてきたから、反射的にぱしりと手を掴んだ。



「毒味は私がします」

「真面目な顔して言うことか?それ」