マカロンコックが乗った鉄板を置いて、すでにガナッシュを投入済みの搾り袋を手にした時。
「じゃ、何回か練習してみるか」
「れ、れんしゅう、ですか」
「まず搾るのにポイントなのは力加減。お前がくっっっそ苦手な」
「苦手なのを強調しなくていいですから……。私もわかってますし」
「今回は気持ち多めで搾っていい。あと、」
淡々と説明されて、それに必死でうなずく。
もちろん、理解して。
「……とまあ、説明はこんくらいにして。やってみたほうがはやいだろ」
「で、では、」
いざ!という思いでキッチンペーパーの上に出そうとした瞬間。
「じゃ、やるか」
「……?!」
ぷるぷる震える手で搾り袋を持っていた上から、節くれだった手が重なった。



