今夜はずっと、離してあげない。




肩を落とし続ける私の頭上に、重たいため息が落とされて。




「……わかった。なら、言い方変える」



それと同時に、落ちる大きな手。



「俺が真生の作ったマカロンを食べたいから、俺も協力する」

「……そんな風に言われたら、やめられないじゃないですか」

「それ見越して言ってるからな」



ずるい……と聞こえるか聞こえないかの声量でつぶやけば、俺はお前のほうがずるいと思うけどな、なんて返された。しっかりと耳に届いていたらしい。



「とりあえず、一旦全工程やるんですよね?」

「ああ。お前の場合、一回通していたほうが、次最初からする時やりやすいだろ」

「はあ……。私、搾るのがいちばん苦手だと思うんですけど……」

「だろーな」



今回ばかりはフォローも否定の言葉もない。

どれだけ私は不器用認定されているんだろう。事実だけれど。