「え、じゃあなんで手作りの選択肢を……?」
「だって、私には師とあおげるほどの料理の達人がついてるから」
「…………ド本命に手伝ってもらうのどうなの……」
私の一言で、手伝ってもらう相手が伽夜だとわかった凛琉はすごい。
なんでだろう。
「伽夜、週末いいですか?」
「……まだバレンタインには三週間ちょっとあるけど」
「備えあれば憂いなし」
「……いや、真生の場合は備えあっても憂いとかなきゃダメだろ」
「そんなにヤバいですか?!」
「ヤバい」
落とされた三文字に、撃沈される。
……やっぱり作るのやめようかな。
「千井と朝水くんは、義理の市販ものでいい?」
「僕らも手作りじゃないの?!」
「味の保証ができないし……」
「それなら市販ものがいいかな」
「判断がはやい」
ふたりには確か、お世話になったと思うから。……いろいろと。



