たぶん、普通の恋人たちとはちょっとズレてて、けどこれが、私と千住伽夜にとっての当たり前。
「来年またここに来るの恥ずかしくて嫌になりそうです」
「その時は引きずってでも連れてくるから。……あ、」
「どうしたんですか?」
スマホのライトで階段を照らしていた伽夜が、画面を見て小さな声を上げる。
それに首を傾げていれば、ほら、と画面を私に見えるようにかたむけて。
「……ほんとに長文メールですね」
「読む気失せる……」
「返信してあげないとお母さま泣きますよ……。そして来年私に皺寄せやってくるのでちゃんと返信してください」
そこに並んでいたのは、文字の羅列。
パッと見た感じだと、氷高ちゃんという単語と、付き合ってるの?!という言葉が多かった気がする。……気のせいだと思っておこう。
「プレゼントって何買ったらいいんですかね」
「……真生にはマフラーでも買うか」
「…………、あの、伽夜は何か欲しいものありますか」
「本人に聞くのか……」
「だって物欲ないじゃないですか」