今夜はずっと、離してあげない。




でも、それじゃあやっぱり伽夜を置いていくことになるのでは?と、再び歩き出した伽夜を見やると。



「……置いていかれるのはごめんだけど、お前をひとりにするのはもっとごめんだからな」



……今日のことで、何か、気づかれてしまったのかもしれない。

そんな風に思えるような言葉だった。


私も、伽夜も、常に置いていかれる側の人間だったから。

置いていく側の気持ちは、残念ながらわからない。


けど、でも、そうだね。


いまなら、すこし、わかるかもしれない。

置いていきたくないって思える人が、私の隣にいることに気付いたから。




「─────あかねさんも、私を置いていかないように、生きようとしてくれてたのかな」



氷高家の墓

そう記された墓石の前で、今は亡き人に、ぽつりと呟いた。