じいいっと、目を見て訴えかけていたら、ぱちぱち瞬きしていた瞳の中で、緊張が解けていくのがわかった。
それにホッとして、ゆっくりと言葉を選び取りながら紡いでいく。
「……最初は、変な人だなって思ってました。家が燃えたのに新居を探そうともしない変わった人だなって。……でも、家で待ってくれてるの、わりと、うれしかったんです」
口下手なこの人が、途切れ途切れにもきちんと話してくれたから。
だから私も、真摯に答えを出さないといけない。
「自分でも、びっくりするくらい嬉しくて。暗くて静まり返った家に帰ってきていた1年が、もう思い出せないほど、おかえりって言って出迎えてくれる柔らかい声と、明るい家が、いつの間にか何にもかえられない〝唯一無二〟になってました。同じですね」
ほんと、同じだ。
心の真ん中に、同じ人がいるからなのか。それは、わからないけど。
「私の中での不動だった唯一無二を簡単に蹴落として、また新しく、唯一無二の存在ができてました」



