今夜はずっと、離してあげない。




「……幻聴でもう流そうかと思っていたんですけど……」

「勝手に流すな」

「だ、だって、伽夜がすごいいつも通りだったから!」

「いつも通りにしないと、真生がいつも通りじゃなくなるだろ」



うっ……、い、言い返せない……。



「ならなんで、いまここで掘り返したんですか……。というか、伽夜のお母さまの前で言うことでもなかったような……」



私のぽそぽそとした言葉に、伽夜はしばらく考え込むように斜め上を見ていたけど。



「……んー、やっぱ、墓地だから?」

「……まったく話が読めないんですけど……」

「あのセンセにいちばん近い場所で、結論出したほうがいいなって気がしたから。母さんの前で言ったのは……単に、俺の気分」

「気分……」



曖昧な言い方をするのは珍しい。

そう思いながら、じいいっと伽夜を見ていたら、その視線に耐えかねたようにぽつりとこぼした。



「……いまの、うそ。ほんとは、俺の妹的な立ち位置が、なんか気に食わなかったから」