そのあと。
お花屋さんに寄って、花を買った。
コンビニに寄って、いつも通り肉まんを買って半分こにして。……それとは別に、あかねさんが好きだったあんまんを買った。
お供物として、ひとつだけ。
あんまんとかはあったかい方がいいから、足取りはすこし早めになる。
「しっかし、母さんと話してこんな時間になるとは」
「こんな時間に来たの、はじめてです」
あたりは暗がりに包まれようとしている中で、ほんのり残る茜空。
黒に侵食されまいと、必死に踏ん張っている。
手にはあんまんとお花が入ったビニール袋と、伽夜の手が。
首には、道中でぐるぐる巻き付けられた、伽夜のあったかいマフラー。
イヴの日かつ、日が沈みそうな時間帯に霊園にいるのは、私と伽夜くらい。
静まり返った霊園で、さくさく歩く足音だけが響き続ける。……と、思ったんだけど。
「……なあ、」
スマホのライトで足元を照らす伽夜が、急に立ち止まった。



