今夜はずっと、離してあげない。






やっとのことで満員電車からぬけだせた時は、全身火照っていた気がする。



「……し、しぬ、かとおもいました」

「そんなのでよく遊園地なんて行けたな……」

「いや、それとこれとはいろいろ違うので……」



一緒に行った人とか、状況とか。


瞑想したからまだよかったけど、あのままじゃ心臓どっこんばっこんしすぎてほんとに死ぬかと思った。いろいろ無理。もう伽夜と満員電車なんて乗れない……。



「もし次イベントと重なって出かける時があったら、電車じゃなくてバスにしましょうか……」



なんの気なしにそういえば、ぱちくりと瞬きをした伽夜が、ふっとなぜか吹き出すように笑った。



「……え、い、いま、なんでわらったんですか?」

「別に」

「絶対別にじゃないですよね?!そんな変な顔になってました?!」

「俺が今まで見た中で、すっげーつかれた顔はしてたな」

「それ変な顔だって言ってるようなものです!」



伽夜はやっぱり、たのしそうに、うれしそうにわらっていた。