今夜はずっと、離してあげない。




とりあえず、当初の予定通りあかねさんのお墓参りにいくことになって。

電車の切符を買って、待つ間もいつもと変わらない世間話を交わす。


ただ、クリスマスイヴとあって、人の多さは言わずもがな。

現在時刻は4時を過ぎたあたりで、サラリーマンはあまり見かけないけど、大学生や高校生、家族連れの人たちなど、いろんな年代が電車を待っている。

そして、ホームがそんな風なのだから、当然。



「……混んでますね……」

「だな」



電車の中が混んでいないわけがなく。

人がぎゅうぎゅう詰めの缶詰状態。いや、これはもう缶詰じゃなくて真空パックって言った方がいいかもしれない。



「インドアでしかない私には苦行もいいところですね……」

「じゃあ一本見逃すか?」

「たぶん、この時間帯だとこれからもっと多くなるかと……」



ようするに、人が詰め込まれたこの電車に乗るしかない。