「や、なんでもないです!ただ、うれしそうだなあって」
「……まあ、数年ぶりだし」
「んふふ。たぶん、伽夜があたしに会いにきてくれたのは、氷高ちゃんのおかげよね?」
「え?いえ、そういうわけじゃ、」
「そ。なんか問題ある?」
ちがうと否定しようとしたのに、私に被せた伽夜が肯定してしまった。
いや、え?ちがう、よね?……え??会うことは、伽夜が自分で決めて、私には事後報告だったし……、どういうこと??
目をぱちぱちさせていると、伽夜の謎の肯定に納得してしまったお母さまは、今日いちばんのとびっきりの笑顔を見せた。
「やっぱり!ありがとう、氷高ちゃん。氷高ちゃんがいなかったら、伽夜とこうやって話し合う機会も、勇気もなかったと思うの」
「や……、私はただのきっかけにすぎないと思う、ので」
絶縁状態にあったお母さまと話そうと思ったのは伽夜の意志だし、お母さまが伽夜にメッセージを送ったのも、お母さま自身の勇気だ。



