「大体、言いたいことはわかる」
はあ、と伽夜はひとつため息をついて。
「一緒に来ないだとか、そーゆーことを言おうとしてたんだろ」
「ゔっ……、わ、我が子ながら恐ろしい……」
肩をずーんと落としたお母さまは、さびしそうにしながらも、すこしだけ明るさを纏わせた笑顔を見せた。
「でも、ちゃんとここにいたいって思える場所ができたのね。……よかった、って、言っていい資格があるのかは、わからないけど」
自虐的に笑ったお母さまは、続く言葉を吐こうとして。
「俺の帰る場所は、もう母さんのところじゃないけど、……でも、ちゃんと、アンタのこと、母さんだとは思ってる」
しっかりと、お母さまの目を射抜いて言った伽夜の言葉に、声を詰まらせた。
「……こんな不甲斐ない人のこと、まだ母さんって呼んでくれるんだね」
「アンタ以外に、俺の母さんはいないだろ」
至極当たり前のように落とされた言葉に、お母さまの綺麗な顔が、泣きそうにわらった。



