ほんと、この人は他人の気持ちや、考えを推し量ることに長けすぎていて、時々ちょっとこわいと思うことも。
嘘も通用しなさそうなエスパー具合。
どうすればこんな能力が手に入るんだろう。
「え、だ、誰かから聞いた……?」
「単なる憶測と推測を交えた当てずっぽう」
「当てずっぽうにしてはレベル高すぎない?!」
言えてる。ものすごく言えてるよ、伽夜のお母さま。
「はあ。……何年、一緒に住んでたと思ってんの。最初は混乱してちゃんと考えられなかったけど、あれからけっこう年月経つんだから、もう客観的に捉えるくらいはできる」
「そ、そっか」
「俺のことを見捨てて、単に置いていくだけだったなら、預金通帳も、親代わりになる人も、ごめんねなんていう不器用な一言を書いたメモも置き土産として残していかない。そんぐらい、わかる」
このひとは、この家族は、びっくりするくらい、お互いを大事に大切に想っているんだなってことがわかる、そんな言葉だった。



