今夜はずっと、離してあげない。





目元が、似ていた。纏っている雰囲気も、異様なほどに。


一層夜が深まろうとしている時間帯に、ベンチでひとりの俺を不審そうに見つめながらも、お腹の音で肉まんを差し出してくるところなんて、特に。


あの人が生きていたら、やりそうなことだ。


……あと、人の話を聞かないところも似ていた。


それから何日間か、あそこのベンチに通い詰めた。

氷高あかねにではなく、今度はその姪、氷高真生に会うために。


なんとも都合のいい話だと思う。



居場所がなくなったから、次の寄る辺を乗り換える、だなんて。



そして、幸か不幸か、氷高真生の家に上がることがあり、彼女の生活力のなさを知った。



最初は、少ししたら出て行くつもりだった。


……それなのに。




氷高真生が俺の作った食事を食べて、美味しいと言いながらつくる笑顔。

手持ち花火に照らされて、きらめく瞳。

伽夜、と名前を呼んで握ってくれるちいさな手。

ただいまと言って帰ってきてくれる、そのすべてと



いつのまにか、離れ難くなってしまっていた。