どうやってかは知らないが、毎月、多額の金が俺の口座に送金される。
誰かから、とはわからないが、きっと母さんからだろう。
昔のパートなどを掛け持ちしていた時とはけた違いの額に、最初はとても驚いた。
憐れみか、はたまた罪悪感からか。
そんなことを問えることもできず、いつか返そうと、それらの出どころ不明の金は貯まっていくばかりで。
「………何も、言わないんだな」
「先生に何を言えっていうの?人の気持ちや行動原理なんて、推測や憶測で語る方が無粋ってものよ。でもごめん泣かれたらどう対処していいかわからないから他の先生呼んできてもいい?」
「どこまでも締まんねえな……。あと泣いてねえし」
氷高あかねからは、憐憫や労りなど、その他一切の感情や想いが感じられなかった。
ただ、意味深に微笑んでいるだけ。
それからも、俺は保健室に行くたびにぽろぽろと自分の気持ちを吐露していき、やがて氷高あかねがいる保健室が、俺の心地いい場所になりかけた、3年の春。
─────氷高あかねが亡くなったことが、
真渡中学全体に広まった。
俺はまた、何も言えずに、大事だった人を失った。



