今夜はずっと、離してあげない。




俺は、多くを語らなさすぎた。

言葉にするのが、下手だった。



だから、黙っていた。

そんなとこをして、何も解決するわけがないとわかっていたにも関わらず。




「一緒にいる時間が減っても、絶対に一緒に食事をしてくれるのが、うれしかった」




もう届かない。もう言えない。

言いたかった言葉たちは、この場ではなんの意味も持たない。



けれど、言いたかった。

口からするりと滑り出してくる言葉たちは、きっと、声となって出ることを望んでいた。




「母さんがいるところが、おれの、帰りたい場所、だった」




帰る場所なんて、帰るべき場所なんて、いらない。

俺が欲しかったのは、あり続けて欲しかったのは、帰りたい場所だけだった。




「……母さんが、俺がいない方がしあわせになれるなら、出て行っても、よかった」




俺のかげかえのない、唯一の、帰ってきてほしい人だった。