「ねえ、千住伽夜くん。きみの事情も、生い立ちもまあわかった。けど、そんな話をしたくて、毎度ここに来てるわけじゃないでしょ?」
その日も、サボっていたところをまるで見られていたみたいに、唐突にサボり場所に現れた彼女に連れられて、保健室でチェスに興じていた。
ちなみに、最初はトランプをしていたけど、2人でやれる遊びは限られるし、スピードなどの2人勝負でもことごとく彼女が負けるのでオセロ、その次はチェスというふうに変わっていった。
「……なんか、毎度流れるように聞き出されてる感があるんですけど」
「え、そう?あっ、それよりね〜、あたしの姪の子がまた日に日に可愛くなってて〜」
「明らかな話題逸らし」
この時から、姪である氷高真生の話題は彼女の口から聞かされていた。
ほとんど聞き流していたけれど、彼女が氷高真生を引き取ったという話は、なぜかしっかりと覚えていた。



